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3月の連休に社員旅行で台湾に行くことになった。
台湾と言えば、簡ちゃん・晋三さんと強い味方がいる我ら。
ちょうど正月休みで帰省していた晋三さんに「案内して〜」と頼むと「よっしゃ、よっしゃ」さすが懐の広い晋三さん。頼りにしてまっせ。

というわけで総勢10人で出掛けた台湾旅行だが、社員旅行など紹介しても面 白くも無いので、晋三さんとの珍道中を少し書かせてもらうことにする。
着いた翌日の夕方、観光から帰ってきた私は晋三さんセッティングの豪華ディナ−・京劇鑑賞を共にする為、携帯に電話をした。
「もしもし」
「おぅ、ホテルに向っとるで、あと2・3分や」
「わかりました。よろしくお願いします。」
しかし、15分以上経っても来ない。まさか迷子?まさかだよね?
社員全員揃い、不安そうな顔。そんな顔で私を見るなよ。
念の為、もう一度電話すると「ホテルを間違ったんじゃ。ハハハ。あと30秒で着くわ。」と例の豪快な笑い。
聞くところによると、私たちが泊まっているのはロイヤル台北(老爺大酒店)、晋三さんが行ったのはロイヤルイン台北(老爺商務會舘)。まぁ、確かに似ている。
ロイヤルインに着いた晋三さんは私達がいないのでフロントで聞こうとしたが「くろ&くみしかわからんでな。ハハハ。」
フロントで「くろがつく名前で調べてもらったら居ないというじゃないか。」 そりゃ居ないだろう。
しかし、余程パニクッて見えたのだろう。フロントの人が「ロイヤル台北にそれらしき人が泊まっている。」と調べてくれたそうだ。
最初からこれでは先が思いやられる。今回はどんな旅行になるのだろうかと不安になったのはくろも同じだと思う。
一通り挨拶も済み、レストランまでタクシ−で移動することになったが「3台に分かれて乗るから一応紙に行き先を書いてきたが行けなかったら残念。ヒャヒャヒャ-」そんな案内有りかい?
まぁ、無事にレストランに着き会食。
これが豪華個室に小姐3人付の高級レストラン。

最初に出てきたふかひれの凄さに皆感激。写真まで撮りだす奴も出る大騒ぎ。
次にあわびが丸ごと。これまた大騒ぎ。なんて貧乏くさい人達だ。
次は伊勢海老。「美味しい〜」の連発。
その次の麺までは良かった。デザ−トにまずフル−ツ。
「なにこれ?美味しくない。」
「台湾の食べ物とはそんなもんじゃ。」
次にお汁粉のようなものが出てまたまた
「これ何?」
「美味くないだろ。ハハハ。」よく見ると、晋三さんはデザ−トに全然手をつけてない。
やはり2年居ても食べられないものは昨日着たばかりの私たちには無理だわ、と変な納得。
しかし、デザ−ト以外はもの凄く美味しかった。
帰国してからガイドブックを見たら「格調高い高級店。完全予約」となっていた。
「会社のおごりだから豪華な所に連れて行って」と頼んだのは確かに私だが・・・

食事も終わり、タクシーで京劇を観に行く。
行った方はご存知の通り、こちらは乗り物が安い。タクシ−初乗り70元(1元≒3.5円)
MKタクシ−のように安くても乗客数をこなして成り立っているらしく、手を上げると3車線向こうからも雪崩のごとく4台もタクシーが寄ってくる。
さて京劇鑑賞となり、晋三さんに観るの何回目か聞いてみると「初めて」だそうだ。
驚くと「一人で観に来てもなぁ。」との答え。確かに一人で俳優さんと写 真を撮っているところを想像すると怪しい。

一応晋三さんの名誉のために言っておくと、俳優さんとの記念撮影は嫌がるのを無理やり撮った・・はずが嬉しそうな顔に見えるのは気のせいだろうか。
ハードなスケジュ−ルから途中眠ってしまったくろは、隣を見ると晋三さんも寝ていたので安心してまた寝たらしい。所詮、筋肉バカな2人だ。
翌日の観光ガイドをお願いしてその日は別れた。

翌日は迷わずホテルに着いたみたいだ。
九フンに案内してくれるというのでMRTに乗ることになったが、「どの線じゃ?」
あまり電車に乗ったことが無いのでわからないというのだ。
私がガイドブックを渡すと見ながら「こっちだ」
またまた不安がよぎる。
どうにか忠孝復興駅に着き、そこからバスに乗り換える。
このバスというのがまた安い。
高速を通って1時間20分も乗るのに70元しかしない。日本の初乗りと変わらない。
じゃぁ、距離が短いのかというととんでもない。ジェットコ−スタ−に乗っているのではないかというくらいに飛ばす。
かと思うと、突然バスを止めエンジンかけっ放し、ドア開けたまま運転手が居なくなったと思ったら、トイレに行って何事も無かったように又走り出す。
その間、誰も文句も言わず黙って座っているところをみると日常茶飯事なのだろう。

九フンに着き、土産物街を歩き出すともの凄い臭いがする。臭豆腐だ。
男2人は大きな声でゲェ−ゲェ−言いながら歩いている。やめてくれ
しかしなぜに2年も台湾に居る晋三さんまでゲェ−ゲェ−?まぁ、あの臭いには慣れそうにはないのでしょうがないか。
街角で「コンド−ムワ−ルド」なる怪しげな写真を撮るバカな夫婦を見て晋三さんは「君らは何をやっとるんだ」
だって、保険套世界ってなんか面白くない?

街は日本観光客しか居ないと思っていたが、意外と台湾人も多かった。
晋三さんがいうには「娯楽が少ないので遊びに行くところといったらこんなところしかない」そうだ。
簡ちゃんが聞いたら怒るだろうか。
お寺の参道を想像するとわかりやすいかもしれない。そこにお店がごちゃごちゃと建ち並んでいる。
日本の温泉街の趣に似ている景色の良い所だ。
大体が、台湾中どこを見ても20年前の日本という感じで懐かしさを感じる。日本人に人気があるのはグルメだけでなく、そのような忘れていた‘何か’に惹かれるのかもしれない。
九フンは映画‘悲情城市’が撮影されたことで有名で、晋三さんがDVDを買ってくれると店に行ったら休みだったのが残念。

そこからタクシ−で金瓜石へ。金鉱跡なのだが、資料館に入るのに100元。
乗り物などの値段からするとずいぶんと高いと思ったら、そのチケットで100元分バスに乗れるという。
中に入ると、遥か遠くの方まで見学通路が続いている。
しばらく3人で呆然として「帰るか」と、さっさとそこを後にしたのは言うまでも無い。
ちょうどバスが来ていて乗ろうとすると次のに乗れとのこと。そんなことでひるまない台湾人は大声で叫びながら乗ろうとして降ろされていた。耳元で叫ばれた私はたまったもんじゃない。
次のバスを待っていると違う場所に止まってお客を乗せ始めている。
誰も文句言うでもなく、そこへ走っていて乗り始めた。我々も先ほどのチケットで乗ろうと出すとその周辺しか乗れないというではないか。漢字でしか書いてないというのに読めない悲しさだ。
今年の台湾は寒いというのにク−ラ−が効きすぎて寒い。
くろに言わせると「定期的乗合冷凍大箱車」。
こちらは何に乗っても凍えるほど寒くするのがサ−ビスらしいというのだが、バイク・車の多さといい、なんとも地球に厳しい国だ。
途中まで渋滞していたがその後とても路線バスとは思えないスピ−ドで、行きより少し時間がかかった程度で着いた。台湾のバス恐るべし。

ク−ラ−ですっかり冷えてしまった私達は小籠包を食べに行くことにした。
それなのになぜか店に入るなり「ビ−ル」といってしまうのが悲しい。
店には昨日晋三さんに教えてもらった同僚たちがいた。
招かれそちらの席に行くと、すでに食事が終わっていて会計だけさせようとする相変わらず貧乏くさい奴らだ。
この店は‘はなまるマ−ケット’で出たとかで日本人客が増えたらしい。
リ−ズナブルなうえ美味しいので人気があって当然だと思う。
なのに「わしが行く店はみんな本に載ってしまう」 う〜ん、それは大いなる勘違いだと思う。
その後、私の希望で士林夜市へ行った。
出発前に「行きたい」と言っていたのだが、九フンで「屋台はこんなもんだぞ」「臭いぞ」「腹こわすぞ」と二人に散々言われ「行かなくてもいい」と言ったが、優しい晋三さんは案内してくれた。
台湾でも韓流ブ−ムらしく、「韓流的整形」と手術前の写真と手術後のヨン様似写 真の大きな看板があった。
とりあえず、うちのダンナでもしてもらうか?

士林夜市はパワフルだ。
というより、簡ちゃんを見ればわかるように台湾人はパワフルだ。
台湾に行ってわかったことは、台湾人はせっかちで親切でパワフル。簡ちゃんが典型的台湾人というところなのだろうかと妙に納得してしまった。
士林で晋三さんがお勧めの‘萬芳’なる女性歌手のCDを買ってプレゼントしてくれた。
甘い癒し系の歌声で‘現代版 テレサテン’と言ったところだろうか。

ここまでで晋三さんとの珍道中は終わる。
なんだかんだ言っても、「イ尓好」と「謝謝」しか解らない私達が楽しく旅行できたのも晋三さんのおかげだ。
「どこでもいいから案内してくれ」と言いながら「温泉・マッサ−ジは興味ない」テレサテンの墓はと言われれば「そんな人知らない」というわがまま夫婦の案内は大変だったろう。
貴重なお休み2日間も使ってくださった上に、お土産まで戴いて「晋三先生 謝謝」

再見           

 

2005.3.24  黒岩 久美