シンゾーさんからのおたより-その34

2007.6 
大家好。

 みなさんお元気ですか。
 台湾で5回目の夏がやってきました。たまに新幹線に乗りますが、最近はトラブルもなく順調に走っています。一日31往復していますが、朝晩は結構込んでいます。反対に航空便は便数の削減をせまられており、台湾高鉄はすっかり定着した感があります。

 猫好きのみなさんへ
 癒しの喫茶でその筋では知られていると聞いたので早速行ってみました。「猫花園」はチャリで台北から西へ30分、夜市で有名な士林の隣の芝山駅にあります。ただいまゴールデンレトリーバ犬一匹と猫、ネコ、ねこ15匹。ほとんど寝ているが、餌をやるとどんどん集まってくる。

 前回フランスにぜひ来いと言うセルジュと石垣島への船中で痛飲したことには触れました。ぼくがその昔ベルサイユ宮殿に行ったときの話をしたら、写真をぜひ送れというもんだから古い写真を引っ張り出してみました。丁度10年前でしたね。サンマイクロシステムズが得意の絶頂の時、パリでの一大イベントでした。案内状にはベルサイユでは全員17世紀の服装で出席すること、とある。冗談だろう、と思ったものですが、実はこれが大真面目。アメリカ人はこういうことになると急に燃える傾向があるんです。80台のバスからクラシックな服装で降りてくるもんだから、観光客は今日は何の日かと。一般観光客がひけたあとの宮殿を民間の一会社が借り切り3500人の大宴会。さながらルイ16世になったような感じでありました。使用前と使用後のようではずかしい気がしますが、今回は特別出品でっせ。

 また台湾で働いていると、「なんでシンゾーさんはそんなにうまくいくのか」という質問があるんですが、今回は自分でもよく分りません。強いて言えば鉄道経験ゼロのぼくが色んな人の協力を得て、しこしこ過去3年間やって来たおかげです。

 高速鉄道では品質管理データとして主要な軌道部品について製造から敷設に至るデータを記録する必要があります。万一重要な品質上の欠陥があとで発見された場合、同じような履歴をもつ部品の敷設場所を特定するためのものです。台湾新幹線の例では25mレール6万本とその溶接、およびスラブ板(コンクリート製)12万枚が主な対象です。これだけあると、同じ番号が複数出てきたり、製造していない番号が出てきます。また、財産管理や軌道保守のためには、一定の区間に敷設された主要装置に固有の番号を振り、その構成部品をボルト、ナットの類までコード化し登録します。保守については台湾高鉄もふくめ誰も経験なんかありませんからJRの人の知識をもとに提案書を作成しました。でも、果たしてこれでよかったのかどうか。これらの機能はMaintenance Management Information System(MMIS)と呼ばれているものです。

 MMISは当初ぼくの仕事とは関係がありませんでした。しかし、“これをやるのは大変だ”ということで誰も手を上げなかった。プロジェクトとしてほっとくわけにもいかなくなり、最終的にぼくに面倒みてくれとなったわけです。今働いているオーストラリアの会社は台北の東6キロ地点から板橋までの16キロ区間の新幹線の軌道工事を担当していますが、ここでも状況は同じです。いままで2回ほど外部から人を雇ったが、みんなやめていったんだとか。みんなが嫌がる仕事に勝機あり。仮にうまくいかなくてもダメモト。うまくいけば注目されますからね。

再見

2007年6月

C 2007 Shinzo

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