シンゾーさんからのおたより-その17

   
2005.4

 

国の春」で、ふかひれ~、いせえぇび、あわび〜のフルコ〜ス♪。Kuro&Kumiがえらく感激した広東料理の「新同楽」。もっと安くて同じような店がありますが、Kumiが値が張っても、ぜひうまいものをと言うし、ぼくも一度は味わってみたいと思っていたので、これはまさに願ったり叶ったり。絶対にはずせません。熱くてとろっとした食感にすじ状のこりこり感とつるつる感が合わさった舌触り。しかもちょっとだけよ、なんてこたーありませんぞ。ふかひれのてんこもりだ。う、うめぇ。思い出しただけで、もうつばがでそうだが、読者の皆さんは想像力をたくましくして味わってくださいまし。

むちむちのイセエビ。こんもりとした厚みのあるあわび。しとやかで地味な色と形をしているだけに、反面 セクシーだ。弾力性のあるあわびの肉のかたまりを歯でぐっと噛み切る時は快感が脳天まで伝ってきます。がぜん食ってやるぞ、というファイトも湧いてきます。最近こんなのしばらく食べてないなー。口が、のどが、べろが、歯がもっと食わせろと自己主張してきます。こういう瞬間が至福の時というんでしょうか。一緒に食卓を囲んだ皆さんもいたく感激。しかも支払いはぼくではないから。この場をお借りして感謝感謝(ガンシエ、ガンシエ)。

うまいものを食べるのは誰でも楽しい。例外なくぼくもそうだ。ぼくはほかになければ別だが、うまいと思わないものは敢て食べない。デザートはグァバに、ぜんざい。この手のものは過去の経験から、どこで食べてもそううまいとは思わない。Kumiは我輩をよく観察しているワイ。

いままでぼくは台湾料理のことには、ことさら触れずにきた。志村けんに乗せられたか、ちまたに台湾料理なるものはうまいんだという評判がある。これに対し評論するにはいささか気がひけるのだ。それに、うまい、うまくないというのは個人差があり、いちがいに同じものさしで計れないからだ。ついでに言うと、中国語で料理と言えば日本と法国〈フランス)につけるもの。その他は十把一絡げに菜という。同僚のSさんとはよくグルメ論争になりかけるが、屋台の食い物がうまいというのだ。臭豆腐は漢字からも臭いますねぇ。何とも形容し難い臭い。鼻が曲がりそうだ。色、形、まわりの環境からこれを食べるには多少勇気がいる。これをうまいと言って食べられれば、あなたは世界中どこででも生きていけます。

ぼくがこちらの食べ物がイマイチだという理由にはいくつかある。
その1 どういうわけかすべての味付けが甘い。ウーロン茶も”無糖”というやつをよく探さないと、甘くてとても飲めません。キンピラゴボウも、ケチャップもマヨネーズも。砂糖の産地だから、その筋の商売にのせられたのか。そういえば中近東の紅茶は底に砂糖がたまるくらいに入れるから、熱いところは生理的に糖分を要求するのかも。そこでだ。どうするかというと、三越でミツカンの"味ポン”を買ってくる。隣の海鮮鍋で鍋は注文するが店のタレを使わないといううまい方法を友人が見出した。これはヒットでしたね。

南京西路にある三越 ここは昔のアメリカ大使館、今は本、コーヒーショップに映画

その2 素材が日本のように豊富で新鮮ではない。同じ牛肉でも和牛とアメリカ産は違うように、魚貝類も寒流と暖流がぶつかり、色んな種類の魚がとれる日本近海と熱帯魚しかとれないところとは当然違いがある。新鮮な魚介類は日本からもって来る。熱帯魚ではすしネタにはなりませんよ。

その3 飲み物がぬるい。熱いものは温かく、冷たいものは冷やしてという習慣はない。コーヒー、お茶、なぜかありとあらゆる飲み物が生ぬ るい。熱いとはやく飲めないというのがその理由だというんだが。台南に行った時、日本人も泊まっている大きなホテルに泊った。そこでビールを頼んだら、なんとコップに氷を入れ、冷えていない缶 ビールと一緒に出てきた。おまけにその缶ビール、100元もした。コンビニで買うと30元なのに。気がついたのは、食事のときに台湾人は酒を飲まない。昼間から飲んでいるのは日本人のテニス仲間だけだ。

その4 ほとんどの食べ物に香草が入っている。この臭いはぼくは許せない。あるときカプチーノを頼んだら、これにも香草のサービスですかい?

その5 暑い気候だから、高原野菜のような葉っぱのやわらかいものはできない。ごわごわしている。ねぎも少々煮たのでは柔らかくならない。

確かに北京料理、広東料理、四川料理、湖南料理、上海料理、台湾料理と多種多彩 だが、ぼくには横浜中華街の方があっている。味は多かれ少なかれその国の味に変化するものだ。日式XXなる看板の料理屋はいたるところにあるが、日本人がよく行く店でないとやはり違和感がある。

こういう一般論はさておき、ぼくのすすめるB級グルメをちょっとだけ紹介しましょうか。 小籠包(ショウロンポー)といえば、鼎泰豊(ディンタイフォン)が有名だが、こちらは値段も高いし、日本人が一杯いて行列ができる。ここで修行したコックが独立した店がKumi達も行った京鼎小館(ジンディンシャオグアン)。こちらの方が味がいいという人もいる。しかも安い。ぼくが行くと有名になったのか、はなまるマーケットの岡江久美子が来た。そして烏龍茶小籠包をここのオリジナル商品として売り出した。Kumiによると、この店が恵比寿にできたそうだ。

四川料理なら新長春(シンチャンチュン)。どれも味がいいが、ピーナッツで味付けをした鱸は味わってみてくだされ。もとは日本アジア航空のスチュワーデスが推薦してくれた店。新長春の近くの客家料理の千采もある。台湾に折角来たのに、一度は台湾小姐じゃなかった、おかゆの味わえる台湾料理をといいうむきには青葉が有名だ。が、雰囲気と味の総合点ではひけをとらない九番抗。九フン(にんべんに分)のもと金鉱のからこの名前がついたという。ここにくると、なんとなく中国に来たという実感がする。日本語も通じる。

もっとも安くてしかも日本のうなぎ料理の肥前屋(フェイチエンウー)。安くてうまいだけに30分くらいは並んでください。ここはテーブルが狭いし、大勢くるのでゆっくり余韻など味わっとる暇なぞありません。食べる先から皿を持って行く。もっとゆっくり日本料理を食べたいという時にはタクシーで天母まで出かけるのだ。会社の近くのセン平小館はセッコウ省料理だが味はいい。ついでに焼き芋屋。兄妹2人でやっている。九フンで3人で食べた紫芋はないのか、と言ったらあれは太るから女性には評判がよくないのでおいてないと。このやきいもの釜、中に練炭がいれてあるだけシンプルなものだが輻射熱で焼いた芋はうまいね。

この間は丁度桜の満開の季節に一時帰国した。そりゃNipponでっせ。Kumiはあとからメールでこんな返事を送ってくれた。 “やっぱり日本人に生まれ育っていると、桜って癒され尚且つ元気づけられますよね。桜をじっと見ていると不思議な感情がわいてきます。四季が美しい日本に生まれて良かったと感じますよね。日本食は堪能しましたか?これも、海外に行く度思うのは、日本で各国の料理を食べるのが一番!” 皆さんはどうですかぁ。

4月24日残工事は一杯残っているが、軌道の工事は予定通 りほぼ終わりだ。でも営業運転はいつからなのかはわかりません。ここからぼくの仕事が始まるからあと一年はかかりますね。繁華街の林森北路でメートルをあげたためか、歌手の萬芳の曲が歌えるようになりました。金がかかっていますが。
皆さんも一度は来てくだされ。熱烈歓迎。

再見
2005年4月

 2005.4(c)Shinzo

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