シンゾーさんからのおたより-その24

   
2006.3


大家好。

今回は金門島の報告です。

台北から飛行機で西へ1時間弱。金門島は淡路島の3倍くらいの広さです。人口は住民4万人+軍人2万人。だいたい台湾はどこへ行ってもバッチイのですが、人口が少ないだけに金門島には美しい自然が残っています。


民宿(金馬玉堂)の許夫妻と

付近の家並み
   

金門島の女(ひと)

田園風景
   

こういう綺麗な道もある
 

要所要所に軍事施設がありますが、昔の人民軍との戦闘のあとは今は観光ルートになっています。地下壕、戦車、高射砲、007に出てくるような上陸用舟艇の隠しトンネルなどがそのままの状態で残されています。対岸は大陸のアモイで距離は6km。アモイは漢字ではガンダレに夏、そして門と書きます。中国語でも英語でもシャーメンというのに、なぜ日本語だけ違うのか。どれがアでどれがモイなんじゃい。もっとも中国に近いところは島の北東で大陸までは2km。大陸で大砲を撃つ音が聞こえる。

国共内戦に敗れた国民党軍が台湾に逃げたため人民解放軍は1949年8月23日午前2時半、200隻の漁船に乗って金門島に上陸を開始しました。漁船で、というところが実にコミカルなのですが、故意に敵を欺くためにそうしたのか。あるいは軍艦がなかったのか。ひょっとしたら、後者ではなかったのか。激しい戦闘ののち、8月25日人民解放軍を降伏させたとあります。


人民軍の侵攻図

「プライベート・シンゾー」
   

地下壕の入り口

地下壕の中
   

上陸用舟艇の隠し場所

それを掘っている作業図

言うまでもなく台湾にとって金門島は今も戦略上非常に重要なところです。台湾国内では飛行機に塔乗する際は、外国人はもとより台湾人も身分証明書が要ります。金門島行きの飛行機に乗る際はぼくの居留証をビニールケースから取り出し、内容を指で追ってチェックする。島内の道はよく整備されていますが、あまり人や車は見かけません。住民に対しては補助があり、3歳までは子供1人だと3000元、2人なら5000元、3人の場合は6000元。65歳以上の高齢者には月6000元が支払われます。島の産業は多分農業と観光。ここで醸造している金門高粱酒は有名です。

面白いのは何と砲弾から作った包丁やナイフ。砲弾の鋼は品質がよく、そのままフイゴで熱して,たたいて伸ばし、油で焼きを入れ、そしてヤスリで磨けば、はい出来上がり。この間15分。切れ味は申し分ありません。手に持った新聞紙にこのナイフをあてるとスッと切れるんです。


金合利鋼刀の製造場所

材料の砲弾
   

熱して打って延ばす

余分を切り取る
   

研ぐ

包丁の完成

陳水扁政権は大陸との交流には慎重ですが、ここでは政治より経済が優先しています。アモイと金門島間には中国船籍の定期船「同安」が就航しています。片道50分。埠頭待合所では通 貨の両替ができ、台中ビジネスが着実に進展しています。先ほどの砲弾の仕入れは大陸からとのことでした。

金門島はその昔、華僑による貿易で多いに栄えたところです。神戸に住んでいた王先生は19世紀から20世紀にかけて東南アジアとの交易で財をなし、その一族はごらんのような立派な住居を構えました。説明用のパネルには孫文の発行した許可証と一緒に撮った記念写 真もありました。


王先生一族の家

屋根の特徴あり
 
   

側面の写真1

側面の写真2
   

孫文(前列左より5番目)と王さん(後列左より9番目)

金門島はバードウオッチャーにとって非常に興味のあるところ。台湾で感心するのは、自然生態の観察施設が台湾全土のあちこちに整備されていることです。ここの鳥たちは人間になれていないせいか非常に警戒心が強いんですね。ちょっとでも近寄るとすぐに逃げます。

もう400mmの望遠では撮れません。ここに来る前、デジスコを奮発しました。 フィールドスコープ(望遠鏡)+デジカメです。倍率は高く(20倍)なりますが、その反面 ブレやすくなります。またピントも手動で合わせますので老眼にはなかなか難しいですね。ただいま試行錯誤中です。一眼レフ+望遠レンズ (1000mm)ならレンズが重たくなって、とても持ち運び出来ません。いずれにしても生態に迫るというのは簡単なことではありませんね。

残念なことに3日のうち、2日間雨。海岸では強風が吹いていて、いい写 真はとれませんでしたが、日本では非常に珍しいヤツガシラを味わって下さいませ。海辺の木(木麻黄)が白くなっているのがありますが、これは鳥の糞です。空を埋め尽くすほどのものすごい数のカワウが夕方海のかなたから飛んできて、夜ここで羽を休めます。そして翌朝早く帰って行きます。これは感動ものでっせ。大陸まで毎日通 勤しているということでした。


鳥の糞で白くなった木麻黄

空一面のカワウ

カワウの鈴なり

オオバン

ヤツガシラ

アップです♪

キジ
 

来月は南東の離島、蘭與(Orchid Island)へ行く予定です。またまた乞うご期待。

再見。

2006年3月

 

 2006.3(c)Shinzo

pre. next