Dubai report from Sinzo-7

2008.12 

 サラム・アレイコム

  皆さん、お元気ですか。
 「ハッジを終えて、わたしはより多くの責務を感じるようになりました。神はわたしの過去の罪を洗い流してくださいました。これからの将来、いかなる罪も犯しません。それはわたしの残りの生涯の責務です」 新聞で見たメッカへの巡礼を終えた人の言葉でした。四国八十八ヶ所の巡礼を終えた人も、いままでと異なる境地に至ったとも聞きました。
 大島さんより便りがきました。12月22日の読売新聞の第一面に「止まったクレーン」、「ドバイ解雇の波」、「上昇都市 伸びぬ摩天楼」という見出しで、猛烈な勢いで発展を続けていたドバイにも金融危機の影が忍び寄っているという記事が載ったそうです。発展途上国からの出稼ぎ労働者の話だが、本当のところはどうか、と。
 ぼくもここにきて、この国の経済状態はどうなっているのか興味津津です。地元の新聞報道やぼくが肌で感じた限りでは、日本のようなひどいことにはなっていませんね。MENA(Middle East and North Africa)の2009年の経済成長は今年の平均5.8%から4%弱に下がるようですが。ドバイメトロは予定通りで変更ありませんし、その他のインフラ投資も凍結にはなっていません。ただ、例のヤシの形をしたパームデイラや世界地図を模したザ・ワールドの不動産開発計画は今後見直しになるようで、この関連はJob Cutの対象になるかもしれません。不動産の賃貸料は今後10%位下がる見込みと新聞報道。
 ぼくはこういう手のマスコミ報道が一番困ると思っています。読者をミスリードする危険性があるからです。読売の記者がどこまで世界の情勢に詳しいのかわかりませんが、ちょっと来て、街で出会った出稼ぎ人に聞いたところで本当の姿は見えませんよ。それに取材する前にシナリオを作り、センセーショナルに書きますからね。そこに住んでみないと実態はわかりません。
 それでも、正しい情報は簡単には手に入りません。特に海外の場合は。政府は都合のいいことは流しても、都合の悪いことは決してオープンにしませんから。どの情報もフィルターがかかっているとぼくはみております。本当の姿に近いのはぼくの情報しかありませんが、当然この情報もぼくの眼を通したフィルターがかかっています。最後は読者が判断するしかありません。
 2004年高遠菜穂子さんがイラクで人質になった時、マスコミも政治家も一斉に自己責任論を展開しました。自己責任を言うのなら、国民に丁寧に知らしめる政府の説明責任はどうなっているんでしょうか。ブッシュのいうことをそのまま信じて自衛隊を派遣した結果、イラクで何がどう変わったのか。アメリカの政策はベトナムに始まって、アフガン、そしてイラクと間違いの連続ではないのか。真の国際貢献とは何か、議論をちゃんとやらないとぼくは危ないと思いますね。
 過去の大不況の教訓から学ぶと、今回の世界的な金融危機は時間はかかるかも知れませんが、やがて乗り越える時がきます。しかし、日本は簡単には回復しないのではないかと危惧しています。なぜなら、少子高齢化のため今後働き手が減少し、その上食糧とエネルギーを海外に依存した状態で、果たして経済は力強く成長するのか。毎年10兆円以上もの石油を輸入し、ガソリンを買った人から税金を吸い上げ、その金を道路建設につぎ込む構造もあります。外貨を稼いでいる自動車産業やエレクトロニクス産業が赤字に転落する状態になっても、まだ高速道路や新幹線を作り続けられますか。今、アメリカは自動車産業を救済するかどうかでもめています。競争力のない会社はたとえ一時的に支援しても、結局ダメなのではないかという意見が多いためです。そこで金言。「賢いものだけが生き残るのではない。強いものだけが生き残るのでもない。唯一生き残るのは変化に対応できるものである」
 あれはヤシなのか、はたまたカブトガニなのか。ブルジュ・アル・アラブホテルの屋上にいけば全体の写真が撮れるのですが、ここに入るには宿泊するか、サンドイッチとコーヒーで400ディラハムのレストランを予約する手しかありません。陸地とパームアイランドを結ぶモノレールは日立グループが担当。来年の5月に開通の予定。

ジュメイラビーチパーク
ジュメイラ・ビーチ・パーク
ビーチ
真冬でも日光浴
ブルジュ・アル・アラブ・ホテル
ブルジュ・アル・アラブ・ホテル
ポスター
全体を現したポスター(手前が海側の先端、後ろが陸地)
マンション
パーム・ジュメイラのマンション
高級住宅街
誰か住んでいますかぁ
アトランティスホテル
アトランティス・ホテルへ(高架橋はモノレール)
アトランティスホテル裏側
裏からみると
全景
アトランティス・ホテル全景
ブルジュドバイ
ここからブルジュドバイを見ると
道路
海側の道路

 今年の清水寺の漢字は“変”。アメリカはオバマの“チェンジ”に賭けた。2009年、日本は変わることができるか。
 こちらの新聞によると、年末年始のドバイのホテルは観光客でほぼ満杯のようです。台湾で4年半、そしてドバイに来てはや半年。もう寒い冬の日本には帰れなくなりました。

いいお年をお迎えください。

マ.サラマ

2008年12月

(C) 2008 Shinzo

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