Dubai report from Sinzo-10

2009.6 

 サラム・アレイコム

 皆さんお元気ですかあ。
 慶弔ごとが続き、長らくお便りが滞っておりました。不肖シンゾーは豚インフルにも、仕事のストレスにも負けず元気にしております。随分熱くなりました。日中は40度を越えます。時折日本に帰ると自然の美しさを再認識しますね。

 もう昔のことになりましたが、3月26日ドバイワールドカップ(競馬)が開催されました。なんせ賞金が1レースで最高6億円。しかも日本からも武豊選手が出場するという。 安い入場券はすでに売り切れで、1500ディラハム以上の席しかない。大枚をはたいて指定席を買うべきかどうか迷ったのですが、ゴールからは少し離れたところにある無料の大型ディスプレイで我慢することにしました。頭では分かっていたのですが、ネクタイもしないであの特別席に座ったら、あわや大恥をかくところでした。競馬新聞を片手に、赤のボールペンを耳に挟んだ地元府中の中央競馬なるものしか見たことがありませんから、世界の競馬はすごいと感激したのであります。競馬は賭け事の場ではありません。上流階級の社交の場なのです。皆さんには、ガルフニュースに載った写真でその雰囲気を味わって下さいませ。

競馬観戦のお嬢さんたち

 日本では多くの人から異口同音にドバイの経済は大丈夫が、という質問がきます。日本は今回の不況の大元でもないのに、大変な事態になっていることからすると、ドバイよ、お前もか、と言いたくなるのはわかりますがね。ドバイの石油収入は約5%。税金というものはありません。国家収入は海外からの投資で成り立っています。中東最大の空港とエメレーツ航空を持つドバイは海外へのハブ空港になっています。また、イスラム圏にしてはあまりうるさい規制がありません。これが世界中から観光客やホットマネーを引き付けている理由の一つです。ハイアットホテルにある日本食のレストランのメニューは日本語と英語だけ。その理由はアラビア語のメニューではウェイトレスが注文とれないからです。パームジュメイラを初め、種々のプロジェクトを手がけるナキール社は政府系のデベロッパー。朝日新聞によると、このナキール社には日本のゼネコン出身者の中田さんがプロジェクトディレクターとして活躍されているそうです。
  確かにドバイの不動産価格は一時に比べかなり下がっており、空室も出ているようです。でも、その不動産を買った人は桁はずれの金持ち。多少価格が下がっても、これでオタオタするような人種ではありません。開発中のザ・ワールド(世界地図のような島からなるリゾート地)にはいわゆる交通手段はありません。この島を買う人はヨットを持っているのが当たり前なのです。1000mを越える高層ビルの建設など、不要不急のプロジェクトは凍結となりますが、これで失業者が巷にあふれるわけではありません。職にあぶれるのは出稼ぎのアジア人で、彼らは一ヶ月以内に帰国させられるからです。経済後退→失業者の増加→社会不安という連鎖から来る日本のような悲壮感はここにはありません。よく新聞に載るドバイのシェイク・モハメッド・ビン・ラシッド・アル・マクトゥーム閣下の肩書きはアラブ首長国連邦副大統領兼首相およびドバイ統治者。ということは、万一ドバイが、にっちもさっちも行かなくなったら、石油王国のアブダビが後ろに控えているというこっちゃ。ついでに、この長ったらしい名前は祖父マクトゥーム、父ラシッドの息子のモハメッド。これでオサマ・ビン・ラディンも分かりますね。

 ドバイメトロの開業予定は2009年9月9日(999)。 でも、このまま行くと、開業がいつになるかよく分かりません。そこで、ボーナス案が出ました。29駅のうち、とりあえず10駅を999までに完成し、メトロが開業できれば200億円を支払うというもの。これにはいろいろ条件が付けられていますが、例の世界一の高さとなるブルジュドバイの完成日にあわせて、是非ともドバイメトロを開業したいという道路交通局の熱意は感じられます。
 これには先例がある。海を隔てたパームジュメイラを走るモノレールは4月末開業しました。両ターミナル間には駅が二つありますが、まだ完成していません。話の種に早速訪れてみました。陸地側の駅はバス路線ともつながっていないため、このモノレールに乗るにはタクシーで行くしかありません。これではお客は来ませんね。案の上、金曜日で休みというのに乗客はまばら。日本なら大赤字で、いずれ廃線の運命を辿りますが。

陸地側の始発駅
陸地側の始発駅
改札
改札
車内
車内
住宅
パームジュメイラの住宅
アトランティスホテル
海を渡るとアトランティスホテル
執着駅
海側の終着駅

 ドバイに滞在している日本人は大使館に登録している人だけで約3000人。実際はぼくのように登録していない人も多いので4000人弱になるでしょうか。ゼネコン関係者が圧倒的に多いのですが、エメレーツ航空のフライトクルーだけで200人の日本女性が働いています。ここには不思議なことに単独でこちらの会社と契約して働いているキャリアーウーマンが多い。             
 テニス仲間のYさんはアラビア語が出来る。このため、日本の会社からの引き合いが多く職探しには困らないらしい。そういう彼女たちの悩みは結婚相手がなかなか見つからないということでしょうか。
 こちらは金曜日が唯一の休みですが、熱いし、休みをもらってもやることがありません。幸い日本人会のテニスメンバーに入れてもらって2時間ほど夕方汗を流すのが精一杯。どういう訳か、テニスのレベルが異常に高いんです。周囲に気を使いながら、テニスを楽しんでおります。

 久しぶりにバードギャラリーをお送りします。例によって、鳥名調査は師匠の古谷さんと明日香さんでした。

インドトサカゲリ
インドトサカゲリ
チョウゲンボウ
チョウゲンボウの雄
アカオモズ
アカオモズの雄

 マ.サラマ

 2009年6月

(C) 2009 Shinzo

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