シンゾーさんからのおたより-その12

   
2004.6


ニーハオマ

春は4月、お茶を喫する習慣が文化として根づく台湾に「春茶」の季節がやってきた。その年の一番茶として、そして年間を通 じてもっとも上質なお茶として特別な存在である春茶。じっくり時間をかけて成長した春の茶葉は特に香りが高く、その味わいはのどの奥まで豊かに広がる。もともと台湾では温暖な気候の恵みを受けて年に4回茶葉が収穫できるが、11月に冬茶の収穫が終わって5ヶ月かけて栽培されるため養分が行き届き抜群の風味をかもしだす。

台北市内から東方に35km。文山包種茶(ウェンシャンパオツォンチャ)として知られる坪林(ピンリン)までチャリで出かけました。でも、途中峠を越えねばならず、行きは2時間、帰りは1時間の上りで、予想外のハードな行程になってしまった。

坪林に入ると村全体がお茶の香りがする。ここの住民は9割以上が何らかのかたちでお茶に関わるという「お茶の里」である。収穫は茶葉が発芽して45日から55日。この間に摘み取る。60日に達すると茶葉は老葉となり、風味がなくなるという。 収穫された茶葉は3時間干したあと、室内で15時間ほど陰干しする。この間5−6回かきまぜる。かき混ぜることで茶葉の細胞が破壊され、空気に触れた部分が発酵する。この作業の良し悪しがお茶の品質を決定するのだという。その後250度の釜で3分焙煎。捏ねたあと乾燥させる。残念ながら、全体のプロセスを見学することは出来なかったが、装置は写 真の通り。 台湾の街角では「茶行」(チャーハン)という看板を掲げたお茶屋をよく見かける。「有今年的春茶_」(ヨウジンニエンダ チュンチャーマ、今年の春茶はありますか)。春茶といっても品質はさまざまで、値段もかなり開きがある。どのレベルを買えばよいかわからない時は、とにかく飲んでみる。たいてい試飲させてくれるのだが、日本人観光客とみるとだいたい高いやつを買わされることになるね。

焙煎
捏ねる(こねる)

ところで、我輩の仕事もだんだん忙しくなってきた。南の高雄側の試験線60kmの軌道は駅の周り (独のRheda軌道というやつ、分からない時はNo.9を見てください)を除き大体工事が終わった。この軌道の検査のため、10kmほどを歩いた。アラブほどではないが、もうかなり熱い。格好は言っちゃおれんから、写 真のようないでたち。検査チームの3人は全線345kmを走破することになるのでこりゃ大変ですぞ。前回は途中で急に雨に降られた。でも高架橋だから降りる階段のある場所までは遠いし、軌道上は避難するところもないので全員ずぶぬ れ。おかげで携帯も使えなくなり大損になったとか。予定では今年10月からこの試験線で300km/hの速度向上試験に入ることになっているのだが……。

レール削正車でレールを削っているところ。年に2回は日本も やっています。 でも、夜間作業ですから普段は見ることはできませんが…

2004年6月
再見。

 

P.S. このホームページを読んだ台湾でのテニス仲間のS氏(今は脱走して日本に帰っている)。ぜひ檳■【木へんに朗】(びんろう)姐ちゃんの写 真ものせてよ、と言ってきた。台湾ではわけが分からないことが沢山あるのだが、もっとも分からないのが、この檳■(びんろう)を売る商売。台北県では、条例で縛っていて普通 の服装なのだが、南にいけばだんだん派手に、そして大胆になる。おまけに総ガラス張りの中で足を組んで高椅子に腰をかけているのを想像してもらうと、おおよその雰囲気が伝わるでしょうか。実は一度カメラを構えたことがあった。そしたら、この檳■姐ちゃん、ものすごい形相で怒ってきたんだ。ある人によると、ナイフが飛んでくることもあるそうだから、ちょっとリスクがある。

檳■は小指ほどの木の実なんだが、運転手などがよくかんでいる。口の中を真っ赤にして。そしてときどきペッペッと吐くから決してほめられたものではない。最近は電車内でこれをやると罰金をとるように条例まで出来た。眠気覚ましになるのか、やみつきになるのか。台湾ではこれが立派な産業になっている。YDO(よー、誰か教えて)、何ゆえにこの手の店がこんなに多いんだ。

檳■姐ちゃんのかわりに台南で見たお茶屋?の写 真を送ります。加藤茶がみたら、肖像権で訴えられるかも。

2004.6(c)Shinzo

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